コーヒー豆って同じ国の豆でもいろいろ種類があって、なにがどう違うのかよくわからないんだよね。
スペシャルティとか、コーヒー豆にはグレードやランクもあるんでしょ?商品名に"G1"とか"AA"とか英数字付いてるけど、みんなバラバラだしどう比べれば良いのかな?
そうそう、国によってグレード分けの基準が違うみたいだし、選ぶ時の基準を知りたい!
こんなお悩みを解決します。
この記事を読めば、ちょっと贅沢したいときはグレードの高いスペシャルティコーヒーを飲もうかな~ なんてコーヒーの楽しみ方が広がります♪
コーヒー豆のグレード・等級と基準
スペシャルティコーヒーが登場する前までは、グレードや等級を決める基準は各生産国が独自に定めた基準しかありませんでした。
しかしそれでは、ある国では最高の豆がある国では最低ランクだった。ということもあり得たということです。
そこでに共通の規格を設けるため、1982年にSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が設立され世界的に「スペシャルティコーヒー」の概念が広がり新しい区分が誕生しました。
※現在はSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)と、SCAE(ヨーロッパスペシャルティコーヒー協会)が2017年に合併しSCA(スペシャルティコーヒー協会)となりました。
スペシャルティコーヒー
スペシャルティコーヒーとは、品質が高いだけでなく、産地ならではの個性的な味わいを持ったコーヒーのこと。
またサスティナビリティが考慮され、トレーサビリティが明確であることが重要です。
全体の流通量の約5%ほどしか流通していない、希少価値の高いコーヒーです。
スペシャルティコーヒー協会で定められた定義により評価されています。
SCAJ(日本スペシャルティコーヒー協会)では、
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程で品質管理が徹底している事が必須である。(From Seed to Cup)
一般社団法人日本スペシャルティコーヒー協会
という定義のもと、コーヒーのカッピング、テイスティングで評価が行われます。
スペシャルティコーヒーに適用可能な判定・評価の概要については、
- カップ・クオリティのきれいさ
- 甘さ
- 酸味の特徴評価
- 口に含んだ質感
- 風味特性・風味のプロフィール
- 後味の印象度
- バランス
の7つと「総合評価」の計8項目、基礎点36点+各8点満点を加えた点数で評価されます。
詳しい定義は、SCAJのHPをご覧ください ▶ 「スペシャルティコーヒーの定義」
また、SCA(スペシャルティコーヒー協会)では、
- フレグランス/アロマ
- フレーバー(風味)
- アフターテイスト(余韻)
- アシディティ(酸味)
- ボディ(粘性)
- ユニフォーミティ(統一性)
- バランス
- クリーンカップ(欠点や雑味がない)
- スイートネス(甘さ)
- オーバーオール(総合評価)
という10項目で評価され、100点中80点以上がスペシャルティコーヒーという位置づけになっています。
上記のように、コーヒー豆自体の品質の評価基準は各協会により少々異なりますが、次の2項目に関しては共通して重要視されています。
- 品質が高く、美味しいだけでなく、生産された地域の気候や土壌ならではの個性的な味わいを持っていること
- サスティナビリティとトレーサビリティの観念
すべてまとめると、
スペシャルティコーヒーの定義
「生産者が安定した生活を維持することができ、生産地の環境保全と経済成長を両立させながら、今だけでなくこれからもずっと供給し続けることができる、おいしいだけでなく産地ならではの個性的な味わいのある、高品質で安全なコーヒー」
ということになります。
例えば、当店のグアテマラのコーヒー豆
☕グアテマラ アンティグア ラ・アゾテア ハイロースト
このコーヒー豆のSCAの評価は83.25点。また生産国などのトレーサビリティが明確です。
トレーサビリティ
- 生産国:グアテマラ
- 地 域:アンティグア地区北部(Sacatepequez県 Jocotenango市)
- 生 産:ラ・アゾテア農園
- 標 高:1645m
- 品 種:ブルボン
- 精 製:フリーウォッシュド
- 焙煎度:中煎り(ハイロースト)
- グレード:SHB(ストリクトリー・ハード・ビーン ※グアテマラ最高等級)
- スクリーン:15up
サスティナビリティ
- アゾテアは農園内に博物館を有し、その収入で栽培方法・有機肥料・シェードツリー体系などの研究に取り組んでいます。
- ニンニク・唐辛子・アロエを使った有機殺虫剤・有機殺菌剤の高い効果は当農園の成功例で、他にもシェードの多様化や、水洗処理で発生するパルプ等からのエタノール精製の研究を始めています。
このように、サスティナビリティに関しても考慮された環境で育てられており、すべての条件を満たしているためスペシャルティコーヒーと言うことができます。
プレミアムコーヒー・ハイコモディティコーヒー
プレミアムコーヒーとは、トレーサビリティがある程度明確で、産地特有の個性があり、コーヒー豆生産国が独自に設けているグレードの高い基準を満たしているコーヒー。
高品質かつ、生産国や生産地域、品種などが特定可能なコーヒーです。
SCAでの評価点が76点以上獲得できればプレミアムコーヒーに位置づけられます。自家焙煎コーヒー店などで取り扱われているコーヒーは、プレミアムに分類されるコーヒーが多いのではないでしょうか。
プレミアムコーヒーは、コーヒー豆自体の品質に重きが置かれています。
生産国独自のグレード分けや基準については詳しく後述します。
たとえば、
☕ブラジル 南ミナス No,2 ショコラN シティロースト
トレーサビリティ
- 生産国:ブラジル
- 地 域:南ミナス
- 標 高:1000~1,100m
- 品 種:ムンドノーボ・カツアイ・カツカイ
- 精 製:ナチュラル
- 焙煎度:中深煎り(シティロースト)
- グレード:No,2 ※ブラジル最高等級
- スクリーン:16~18
生産国/生産地域/生産国別グレード/品種などが示されていて、トレーサビリティがある程度明確であることがわかります。
またブラジルのコーヒー豆のグレード分けではNo,2が最高グレードなので、高い基準を満たしておりプレミアムグレードに位置づけられます。
コマーシャルコーヒー・コモディティコーヒー
コマーシャルコーヒー、コモディティコーヒーとは、産地規格だけでパッケージされているコーヒーのこと。
いわゆる大量生産されているコーヒーです。
一般的に流通しているコーヒーはほとんどがコマーシャルコーヒーにあたります。
同じ国の様々な生産地の豆を集めてまとめて出荷されるようなコーヒーなので、トレーサビリティが明確ではありません。
それでも、コーヒー生産国独自のグレードでは高い基準の豆である必要があります。
たとえば、
☕ブラジル No,2 / コロンビア スプレモ
など国名とグレードのみの商品名のものが多いです。
ローグレードコーヒー
インスタントコーヒーや缶コーヒーなどの安価なコーヒーにも使われるコーヒー豆や、輸出規格外品など。
たとえば、
☕ブラジル No,4 / コロンビア エクセルソ
など。
コーヒーのグレード・ランクを分ける評価基準
コーヒー生産国には、コーヒー豆の品質を評価するための独自の基準があり、その評価によりグレード分けされます。
国により評価方法が違うのですが、主に次の4つの評価方法が採用されています。
1.スクリーンサイズ
スクリーンとは、ふるいのこと。
生豆をサイズ別に分けるためにふるいをかけて選別します。
スクリーンサイズとはふるいの網目のサイズのことで、0.4mm単位で数えられます。
例えばスクリーンサイズ19~20などの特大サイズは、7.6mm~8mmの豆ということです。
スクリーンサイズが大きい=生豆の粒が大きいほど、味と香りが優れたコーヒーになるとされています。
2.欠点豆の数
欠点豆とは、貝殻豆、未熟豆、カビ豆、発酵豆、虫食い、欠け豆、異物などのこと。
欠点豆や異物が混入していると、雑味、渋み、えぐみ、カビ臭などの原因となり味が損なわれます。
欠点豆の割合が少ないほど、評価が高くなります。
3.生産地の標高
一般的に、標高の高い場所で栽培されたものほど品質が高いとされています。
標高が高いほど昼夜の寒暖差が激しく、コーヒーチェリーの種子が硬くしまり、味が凝縮され風味豊かなコーヒー豆となります。(コーヒー豆は、コーヒーの木になる、コーヒーチェリーの種なのです。)
同じ品種を低地で育てるよりも、香りや酸味、風味が際立ったコーヒーができるため、標高が高い場所で育てられたコーヒー豆が高評価となります。
4.カップテスト
実際に焙煎し、粉にして、お湯に浸して抽出し、香りと味で判定します。
コーヒー業界では「カッピング」と言われています。
しかしグレードを評価するためのカッピングは、欠点のチェックを重視するようなネガティブ要素が強いカッピングで、消費者側が行うおいしさを評価するためのカッピングとは少々目的が違います。
- いやな渋みやにおいがないかなど、欠点チェックを重視するネガティブチェックの要素が強い。
- 様々な地域の豆を集めて出荷するコマーシャルコーヒーは欠点豆の混入率が高いため、集荷前にカッピングによりチェックする必要がある。
- ネガティブチェックのカッピングはブラジル方式とも呼ばれていて、ブラジルやコロンビアなど生産量の多い国では評価基準として重要視されています。
コーヒー生産国別 グレード・等級一覧
それでは、主な生産国別のグレード・等級分けをみていきましょう。
ブラジルのコーヒー豆のグレード
ブラジルは、
- 欠点数
- スクリーン
- カップテスト
それぞれ個別に判定します。
①欠点数
300gの生豆に含まれる欠点豆の数で採点。
欠点豆が1つも無いことはありえない。との考え方から、No.1は設けていないのだそうです。
No,6以上の豆が輸出対象の豆です。
グレード表記 | 生豆300g中の欠点豆の数 |
---|---|
No,2 | 0~4個 |
No,3 | 5~8個 |
No,4 | 9~26個 |
No,5 | 27~46個 |
No,6 | 47~86個 |
No,7 | 87~160個 |
No,8 | 161~360個 |
②スクリーンサイズ
大きい豆ほどグレードが高くなります。
輸出対象となるのはスクリーン16以上のサイズの豆のみ。表記方法は、
- スクリーン20
- #20
- SC20
- S20
などさまざまなのでチェックしてみてくださいね。
グレード表記(他表記) | スクリーンサイズ |
---|---|
スクリーン20 (#20/S20) | 8mm |
スクリーン19 (#19/S19) | 7.5mm |
スクリーン18 (#18/S18) | 7mm |
スクリーン17 (#17/S17) | 6.75mm |
スクリーン16 (#16/S16) | 6.5mm |
スクリーン15 (#15/S15) | 6mm |
スクリーン14 (#14/S14) | 5.5mm |
スクリーン13 (#13/S13) | 5mm |
③カップテスト
ネガティブチェック要素が強いカップテスト。
滑らかな口当たり、甘味があるか、雑味や渋み、薬品臭がないかなどをチェックします。
グレード表記 | テイスティング |
---|---|
ストリクトリーソフト | 滑らかな口当たりと甘みが十分にある |
ソフト | 滑らかな口当たりと甘みがほどよくある |
ソフティッシュ | 甘みが軽くある |
ハード | 口当たりが悪く酸味や渋みがある |
リオイ(リアード) | 軽めのヨードホルム臭、薬品臭がある |
リオ | 強めのヨードホルム臭、薬品臭がある |
グアテマラのコーヒー豆のグレード
生産地の標高
標高が高いほど昼夜の寒暖差が激しく、より実がしまり風味が豊かになるとされています。
グアテマラのコーヒー豆は生産地の標高によりグレード分けされています。
7等級もありますが、最高等級のSHB、その次のHBの2つを頭に入れておけば高品質なコーヒーを楽しめると思います。
グレード表記 | 標高 |
---|---|
SHB ストリクトリー・ハード・ビーンズ | 1350m以上 |
HB ハード・ビーンズ | 1200~1349m |
SH セミ・ハードビーンズ | 1050~1199m |
EPW エクストラ・プライム・ウォッシュド | 900~1049m |
EGW エクストラ・グッド・ウォッシュド | 750~899m |
PW プライム・ウォッシュド | 600~749m |
GW グッド・ウォッシュド | 599m以下 |
メキシコのコーヒー豆のグレード
生産地の標高
メキシコも生産地の標高によりグレード分けされていますが、グアテマラとは表記や読み方、標高の高さなどが異なります。
また2種類の評価基準がありややこしいです。
グレード表記 | 標高 |
---|---|
SHG ストリクトリー・ハイ・グロウン | 1700m以上 |
HG ハイ・グロウン | 1000~1699m |
PW プライム・ウォッシュド | 700~999m |
グレード表記 | 標高 |
---|---|
AL(アルトゥーラ) | 1300m以上 |
PL(プリマラバド) | 900〜1299m |
BL(ブエンラバド) | 750〜899m |
エチオピアのコーヒー豆のグレード
欠点数
エチオピアのコーヒー豆は300gの生豆に含まれる欠点数でグレード分けされています。
G8までグレードがありますが、日本に輸入されるのはG4まで。
グレード表記 | 生豆300g中の欠点豆の数 |
---|---|
G1 | 0~3個 |
G2 | 4~12個 |
G3 | 13~27個 |
G4 | 28~45個 |
コロンビアのコーヒー豆のグレード
スクリーンサイズ
コロンビアのコーヒー豆はスクリーンサイズによりグレード分けされています。
一般的にはスクリーンサイズ17以上がスプレモ、16~14がエクセルソとして分類されていることがほとんど。
コンビニでも「コロンビアスプレモ」が販売されていまるが、このグレードの豆が使用されています。
グレード表記 | スクリーンサイズ |
---|---|
エクセルソプレミアム 通称:プレミアムスプレモ | 18 |
エクセルソスプレモ 通称:コロンビアスプレモ | 17 |
エクセルソエクストラ 通称:コロンビアエクセルソ | 16 |
エクセルソ ヨーロッパ 通称:コロンビアマラゴジッペ | 15 |
エクセルソ UGQ 通称:コロンビアUGQ | 15が50%/14が50% |
エクセルソ マラゴジッペ 通称:コロンビア マラゴジッペ | 17 |
エクセルソ カラコル 通称:コロンビアカラコル | 12 |
タンザニアのコーヒー豆のグレード
スクリーンサイズ
タンザニアのコーヒー豆もスクリーンサイズによりグレード分けされています。
キリマンジャロAA/ンゴロンゴロAA/スノートップAAなどが有名。最近は最高ランクのAAを超えたAA++なども出ています。
グレード表記 | スクリーンサイズ |
---|---|
AA | 6.75mm以上 |
A | 6.25~6.74mm |
B | 6.15~6.24mm |
C | 5.90~6.14mm |
ケニアのコーヒー豆のグレード
スクリーンサイズ/形状
ケニアのコーヒー豆はスクリーンサイズと形状によりグレード分けされています。
日本で販売されているのはAA~ABがほとんどです。
グレード表記 | スクリーンサイズ/形状 |
---|---|
AA | 7.2mm以上 |
A | 6.8~7.1mm |
B | 6.2~6.7mm |
AB | AとBの混合 |
C | 6.1mm以下 |
E | 大きすぎる豆(エレファント) |
PB | ピーベリー ※通常はコーヒーチェリー1個につき豆が2つだが、1個の丸い豆となっているもの。 |
インドネシアのコーヒー豆のグレード
欠点数
インドネシアのコーヒー豆は300gの生豆に含まれる欠点数でグレード分けされています。
近年SG(スーパーグレード)という等級のものも見られるようになってきました。
これは標高が高い1400~1900mの地域で栽培された特に風味の優れた最高級品とされています。
グレード表記 | 生豆300g中の欠点豆の数 |
---|---|
G1 | 0~11個 |
G2 | 12~25個 |
G3 | 26~44個 |
G4 | 45~80個 |
G5 | 81~150個 |
ホンジュラス・エルサルバドルのコーヒー豆のグレード
生産地の標高
ホンジュラスとその隣国のエルサルバドルのコーヒー豆は、生産地の標高によりグレード分けされておりその基準は全く同じです。
グレード表記 | 標高 |
---|---|
SHG ストリクトリー・ハイ・グロウン | 1200m以上 |
HG ハイ・グロウン | 900~1199m |
CS セントラル・スタンダード | 600~899m |
コスタリカのコーヒー豆のグレード
生産地の標高
コスタリカのコーヒー豆は、太平洋側、大西洋側、内陸部と、地域によって基準値や表記が異なります。
基準外のコーヒー豆は、国内用として消費されます。
グレード表記(太平洋側) | 標高 |
---|---|
SHQ | 1200~1700m |
GHQ | 1000~1199m |
HB | 800~999m |
グレード表記(大西洋側) | 標高 |
---|---|
HGA ハイ・グロウン・アトランティク | 900m以上 |
MGA ミディアム・グロウン・アトランティク | 600~899m |
LGA ロウ・グロウン・アトランティク | 150~599m |
グレード表記(内陸部) | 標高 |
---|---|
MHB ミディアム・ハード・ビーン | 500~1000m |
これでコーヒー豆の商品名に使われている英語や数字を見た時に、豆のグレードがわかるようになりましたね!
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まとめ
- スペシャルティコーヒーとは、品質が高いだけでなく、産地ならではの個性的な味わいを持ったコーヒーのこと。
- スペシャルティコーヒーはサスティナビリティが考慮され、トレーサビリティが明確であることが要件となる。
- スペシャルティコーヒーはSCAのカッピング評価で80点以上の点数が必要。
- 国ごとにグレード、等級を定める基準があり、判断基準以下の4つを用いられていることが多い。
- 欠点豆が少ない
- 生産地の標高が高い
- 豆の粒が大きい
- 口当たり滑らか、甘味があり、雑味や渋み、薬品臭がない
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当店でも多くのスペシャルティコーヒーを焙煎しています。よろしければ覗いていってみてください。
おいしいコーヒーでこころを豊かに。
コーヒーライフを楽しみましょう!