コーヒーを淹れるとき、お湯の温度で味が変わるって聞いたんだけど本当?
そうなの?苦み強めとか、酸味をなくすみたいに調整できるの?
温度が高いと抽出効率が上がるとか。でも上がると何がどう変わるんだろう?コーヒー初心者にもわかるように、おすすめのお湯の温度を教えてほしい!
こんなお悩みを解決します。
「カフェで飲んだコーヒーの豆を買ってきて、家で淹れてみたけどなんか違うんだよな」
「酸味が苦手だから抑えたいんだけど、何か方法あるのかな?」
なんてお悩みの方、多いのではないでしょうか。特にハンドドリップを始めたての方は、淹れ方で悩むかもしれません。そこで今回は、焙煎度に合った最適な湯温は何度なのか、また苦みや酸味を調整する方法を解説していきます。
まずはじめに結論から言うと、焙煎度別のおすすめのお湯の温度は
- 深煎り :88℃
- 中深煎り:90℃
- 中煎り :92℃
- 浅煎り :94℃
となります。ではなぜ焙煎度で温度を調節しなければいけないのかをみていきましょう。
※深煎り:イタリアン・フレンチロースト/中深煎り:フルシティ:シティロースト/中煎り:ハイロースト/浅煎り:ミディアムロースト
ドリップ時に抽出されるコーヒーの成分の順番
コーヒーにお湯を注ぐと、苦みや酸味、甘味成分など様々な成分が抽出されます。
しかしそれらの成分はすべて同時に抽出されるのではなく、
「酸味」→「甘み」→「苦み」→「雑味」
の順に抽出されます。
私たちが飲んでいるコーヒーは、粉にお湯を通し、コーヒーに含まれているアロマ、苦み、酸味、甘味などの成分を液体に移すことで完成します。
その移す「スピード」や「時間」によって成分の量が変化しコーヒーの味が決まるんですね。
お湯の温度を変えると成分が移るスピードが変わります。
成分が移るスピードが変わると味が変わります。
このことを利用してお湯の温度で味を調整する、というわけです。
酸味・甘み
酸味成分や甘み成分はお湯に溶けやすいという性質があるため、はじめに抽出されます。
酸味成分は湯温の影響を受けにくく低温でも抽出されますが、高温でないと出にくい酸味成分もあるため、高温抽出するとより複雑な酸味を引き出すことができます。
ちなみに酸味の成分は最初に抽出されるので、「少なくする」ということはできません。酸味を抑えたい場合は、酸味そのものを抑えるのではなく苦みを強調させるために高温で抽出します。
苦み・雑味
酸味、甘味に次いで抽出されるのが苦み。次いで渋み、えぐみといった雑味成分もでてきます。
抽出が過剰で、苦みや雑味が主体となってしまうことを一般的に「過抽出」と言います。
過抽出のコーヒーは不快、後味が悪いなどのネガティブ要素が多く、飲みにくくなってしまいます。
お湯の温度でコーヒーの味を調整
前述したとおり、コーヒーは抽出される成分の順番が決まっているので、
抽出されやすい成分と抽出されにくい成分がある
ということがわかりました。では、高温で淹れた場合と低温で入れた場合それがどう関係してくるのかを解説します。
高温のお湯で淹れた場合
高温のお湯は成分を溶け出しやすくするため、コーヒーの成分の抽出速度を上げます。抽出されにくい苦み成分も抽出されやすく、濃度が濃くて深みのある味に。
またスペシャルティコーヒーなど高品質なコーヒーでは、アロマ成分が溶け出しやすく個性あるフレーバーを引き出すことができます。
しかしその反面、渋みやえぐみなどの雑味も抽出されやすくなるため注意が必要です。
低温のお湯で淹れた場合
低温のお湯は抽出速度がゆるやかになるため、雑味が出にくくマイルドな味に。
ただあまり低すぎると苦みやアロマ成分が出にくく、香りの弱い、深みのない味になってしまいます。
コーヒー焙煎度別 おすすめのお湯の温度
コーヒー豆は焙煎度により、苦み成分、酸味成分のバランスが変わり、また抽出効率も異なるので焙煎度を考慮した湯温の調整が必要です。
- 深煎りの豆→苦み成分が多く味が出やすい。豆の含有水分量が低いため、その分水分の吸収率が高い。→抽出効率が良い。
- 浅煎りの豆→酸味成分が多く味が出にくい。豆の含有水分量が高いため、その分水分の吸収率が低い。→抽出効率が悪い。
抽出効率が良い豆には低温で、効率が悪い豆には高温で抽出するとバランスの取れた味わいになります。
深煎り、中深煎りの場合
深煎り :88℃
中深煎り:90℃
- 深煎りは苦み成分が主体(苦み、雑味が出やすい)
- ドリッパーから落ちてくる速度が遅く、抽出効率が良い(苦み、雑味が出やすい)
このことから、苦みが出すぎないように、また雑味が出ないようにするため低温での抽出が向いています。低温で淹れると苦みの角が取れ、飲みやすくなります。
中煎りの場合
抽出温度:92℃
- 苦みと酸味のバランスが取れている
- ドリッパーから落ちてくる速度は平均的
苦み、酸味のバランスの取れた焙煎度なので深煎り、浅煎りの中間の温度で淹れましょう。
また92℃をベースにして、苦みを強調したい場合は高温で、酸味を強調したい場合は低温で淹れるなどお好みで調整しても楽しいですね。
浅煎りの場合
抽出温度:94℃
- 浅煎りは酸味成分が主体(苦み、雑味が出にくい)
- ドリッパーから落ちてくる速度が早く、抽出効率が悪い(苦み、雑味が出にくい)
酸味主体の焙煎度で、抽出効率の悪い浅煎りの豆は、高めの温度で効率良く抽出しましょう。
酸味、甘味を効率的に抽出しつつ、ほんの少し軽い苦みが加わり引き締まった味になります。
自分の好みを見つけよう
大手コーヒーブランドやメーカーさん、老舗のカフェなどでも推賞温度を公表しています。上記はそれらをまとめ、自分で実際に試し、一番おいしいと感じた湯温です。
たとえば、有名なコーヒーのメーカーやカフェなどの推奨温度は以下のようにバラバラです。
UCC | 95℃前後 |
ドトール | 93℃ |
カリタ | 92℃ |
スタバ | 90~96℃ |
タリーズ | 90℃ |
カルディ | 90℃前後 |
粕谷 哲(2016年World Brewers Cup アジア人初世界チャンピオン) | 浅煎り93℃ 中煎り88℃ 深煎り83℃ |
カフェバッハ | 82~83℃ |
上記を参考にいろいろ試してみましょう!
温度の測り方、湯温の変化について
温度計付きケトルやキッチン用温度計が便利
最近はケトルにお湯の温度が表示されるものも販売されていますので便利です。今お持ちのドリップポットなどを使用したい方は、キッチン温度計がおすすめ。
でも買うまででもないかな~、という方もいらっしゃるかと思います。
ケトルでお湯を沸かしてそのまますぐに淹れれば100℃ですが、例えば、沸騰直後にケトルからドリップポットにお湯を移すと5~10℃位一気に下がります。(気温や湯量にもよりますのでだいたいですが)
それから30秒置いた場合、1分置いた場合というような調整方法もありだと思います。
深煎りの場合2分置いてみる、中煎りの場合1分置いてみるなど、マイルールでも味の調整はできます。
湯温は徐々に下がることも考慮
ハンドドリップは蒸らし~抽出が終わるまでに2分半~3分程度かかります。その間にもお湯の温度は下がり続けますよね。
室温20℃の環境下で、300mlの沸騰したお湯をハリオのV60ドリップケトル(容量600ml)に移したところ、一気に90℃まで下がりました。
その後88℃で抽出開始したところ、淹れ終わる頃には81℃になっていました。
このことから、ドリップポットにお湯を移し替える場合は少々高めの湯温での抽出でも良いかもしれません。
お湯を沸かしたケトルであれば、湯温が低下するスピードはもう少し緩やかだと思いますので、前述の湯温での抽出をおすすめします。
まとめ
- コーヒーのハンドドリップにおすすめのお湯の温度は、深煎り:88℃/中深煎り:90℃/中煎り:92℃/浅煎り95℃
- コーヒーの成分は酸味→甘み→苦み→雑味の順に抽出される
- 湯温が高いと苦みが強調され濃いと感じる。高すぎると雑味が出やすくなる。
- 湯温が低いと苦みが抽出されにくく、あっさりクリアになる
- 上手く抽出されたコーヒーは、甘さを感じ、苦み、酸味のバランスが良く後味が良い
上手に抽出されたコーヒーは、甘さを感じ、苦み、酸味のバランスが良く後味が良いです。
私は甘さを感じられるコーヒーが大好きで、「ブラックが飲めない方でも飲めるようなコーヒー作り」を心がけています。
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